吏部を目指せ!


そ し て は じ ま る 、

さんって…吏部の覆面官吏なんだよ…な?」


「俺も聞いた時は信じてなかったけど、本当みたいだぜ…」


「吏部の覆面官吏なのに工部の出世頭なんだろ、あの人!」


「工部で頭角を現して工匠からも信頼されてるって噂、あれ本当だったのか!?」


そんな囁きは、吏部の中では結構日常茶飯事になっていた。
そしてその囁きには、必ずもう一つの言葉が付いて纏っていた。


「でもあの人、ホントに天性の覆面官吏だよな…しょっちゅう吏部で見かけてるし顔も判ってるのに、工部で見ると誰だか判らないんだもんな…」


同僚である碧珀明にすら、工部で働いている姿を「別人」と言わしめたは、後に「覆面官吏の鏡」「仮面の男」「別人28号」など様々な名で呼ばれ、親しまれることとなる。
「仮面の男」という渾名により黄家庶子の疑惑を掛けられたり、しょっちゅうかぶり物ではないかと疑われて頬をつねられるのも毎日のことであった。

そんな苦労を重ねてきただったが、彼はその官吏人生を全て覆面官吏としての仕事に費やし、多くの不正を見破り続けてきたという。
そして彼の示した「人間行動論」は官吏採用の際の大きな目安となり、その後の彩雲国の発展に多大なる恩恵を生んだことは言うまでもない    




















「………、お前何を書いてるんだ?」


「ん?俺の未来日記"の栄華と発展〜稀代の覆面官吏"!」


「ンなことやってる隙があったらさっさと仕事をしろこのボンクラが!」


「……最近ほんっとに口悪くなったよね、珀…て、ちょっと待て何す…ギャー!?燃える、燃えてる!!俺の人生の最高傑作……!!」


「知るか!工部の仕事が終わってるんなら吏部のをやれ!!」


「や、やめ…っ、珀明……ぁっ!」


「気味の悪い声を出すなッ!!さっさと行くぞ!!」


「ぐふっ、く、首絞ま…引きずらないで!歩く、歩くから…!!」




実際の所の名が歴史に残るのか、本当に稀代の覆面官吏になれるのか。

それはまだ誰も知らない、未来の話。

ここまでお付き合い下さり有り難うございました!
これにて「吏部を目指せ!」連載完結でございますー。
タイトルが「吏部を目指せ!」なので、吏部配属&お仕事確定になった段階で連載終了
となりました。今後はちょこちょこ番外編など書いていきたいと思います。
碧幽谷事件(笑)での君の不幸ぶりも気になりますしね!私が!

それでは皆様、本当に有り難うございました!